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新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)の 治療とリハビリについて

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COVID-19による筋力低下(ICUAW:ICU関連筋力低下)

いくつもの研究が、筋力低下や疼痛、認知障害、せん妄、不安、抑うつ、心的外傷後ストレス障害が、この重症疾患によって直接的にもたらされることを示しています。

筋力低下は、筋肉(重症疾患ミオパチー)と神経(重症疾患ポリニューロパチー)の両方に起因し得ると考えられます。こうした状態はしばしば同時に発生し区別することが困難であるため、「ICU関連筋力低下(ICU-AW)」という用語が使われています。この筋力低下は短期的にも長期的にも呼吸器の回復に悪影響を与えます。

重症疾患や進行した病状(進行したCOPDやCHF、敗血症、また、重症疾患時、悪性腫瘍時、人口呼吸器装着中の意識低下などの状態を含みます)でのNMESの目的は、運動が出来ない人々の骨格筋の萎縮を予防する、または、食い止めることです。筋力低下や筋疲労は患者の運動能力の妨げとなり、さらには、抜管を遅らせ、ICU滞在を長引かせ、患者の独力での移動や日常活動への復帰を先延ばしにしてしまうことが知られています。
ICU関連筋力低下(ICUAW)は人工呼吸器を長期間にわたって装着している重症患者によく見られる状態です(27、29)。

ごく最近の機序的研究により、筋萎縮と筋肉量の低下は重症疾患を通して急速に進行することが明らかになっています。患者が挿管され人工呼吸器を装着している場合には数時間で進行してしまうこともあります(28)。理学療法士は集中治療室(ICU)内でICUAWの予防と治療において不可欠な役割を果たすことになるわけです。早期の関節モビライゼーションと吸気筋トレーニングが、ICU入院中の患者の早期退室と退院時の機能的自立に有効であるとの研究があります(29、30)。最重要な点は、ICUからの生還件数が増加するのに伴って、ICU退室後と退院後のICUAWへの対応において理学療法士の果たす役割が非常に大きくなって行くことです。このため、筋力低下を可能な限り早期から予防することが必須となります。これは、神経筋電気刺激(NMES)を用いることで達成可能です。

このような「電流刺激療法」(NMES)は、患者のICU入院開始と同時に始めることが可能で、実際、そうすることが最善なのです。たとえICU患者が依然人工呼吸器を装着していてもこの療法を開始すべきです(26、32、33、39)。

電気刺激(ES)の使用により筋力が強化されることが確認されています(34、35)。さらに、同等の筋肉強化率を得るためには、ES使用時よりも随意運動時の方がより高い筋収縮強度が必要とされることが明らかになっています(34)。その場合、特に患者が高齢であると、心拍数の増加が促されてしまうことになります。ESを使用すれば、心血管の負担を増加させることなく、同程度の筋肉収縮を行うことが可能です(36)。

Wageckら(2014)は、「NMESは重症患者にとって歓迎すべき介入治療になると考え得る。また、NMESによって筋肉量と筋力がICU環境でも保たれることも期待できる」と結論づけています。

Sillenら(2014)は、「以前の研究でNMESは、筋力トレーニングとして、COPDによって重度の呼吸困難を抱える人々にも大腿四頭筋の筋力が低下してしまった人々にも同様に効果的で、対象としていた患者グループにとって良い代替方法だったと考え得る。
以前、これらの患者は自転車や「トレッドミル」を用いての運動が出来なかった。NMESと筋力トレーニングはCOPDにより重度の呼吸困難を抱える人々や大腿四頭筋の筋力が低下してしまった人々の運動パフォーマンスを改善するのに効果的である。NMESは筋力の強化に繋がり、脚の筋肉の持久力を高め、生活の質を改善し、長距離の歩行を可能にする。呼吸困難を患者が訴えたりすることのない新しい療法の形が求められている現在、こうした結果は素晴らしいものであると考えられる。肺機能自体はNMESでは改善しない。しかし、脚の筋肉の状態を改善することで、そうした患者たちも自宅でより多くのことを問題なく行えるようになる」と報告しています。

Zanotti(2003)は、「重度のCOPDで侵襲性の人工呼吸器を装着中で、末梢筋の著しい緊張低下と萎縮があり、ベッドから離れられない患者に、従来のALM(アクティブ四肢モビライゼーション)に加えてES(電気刺激)を使用したところ、末梢筋力が明らかに改善し、ベッドから椅子への移動に必要な日数が減少した。この手法の組合せは忍容性が高く、ALMのみの場合と比較して、呼吸数(RR)の減少に繋がった。患者は通常よりも早く座ることができるようになり、これは機能的能力が増強し生活の質が改善したことを意味する。ESの使用は安全、安価で、信頼性も高い。
ICUから一般病棟までどのような病院環境でも使用可能な手法であり、重症度のそれほど高くない患者の入院期間を短縮することが期待できる」との結論に至っています。

ENDORMEDを用いてNMESを行う手法の詳細 >>