水道・光熱費だけではない、シャワー浴が施設運営にもたらすメリット

施設にとって、大きな設備投資となる機械浴槽。導入検討にあたってまず気になるのは、本体価格や設置費など、目に見えて高額になりやすい初期費用ではないでしょうか。
しかし、施設で毎日使うものだからこそ、「導入にいくらかかるか」だけでなく、「導入によってどのような費用対効果が見込めるか」「ランニングコストはどの程度かかるか」など、導入後まで含めて十分に検討することが大切です。

 

近年は、介護現場の負担軽減や業務効率化を目的とした「介護テクノロジー」の導入支援も広がっています。そのため、機器によっては、補助金・助成金を活用することで導入時のコストを抑えられる場合もあります。

 

さらに、導入後の水道・光熱費、入浴業務にかかるスタッフの時間まで視野に入れると、機械浴槽は単なる設備投資ではなく、施設運営に余力を生む投資として見ることもできます。

 

今回は、シャワー浴によるコストカットと経営メリットという視点から、機械浴槽選びについて考えます。

 

 

【シャワー浴による経営メリット①】

導入前、早めに確認したい「補助制度」の活用

導入時の費用が大きくなりやすい機械浴槽ですが、本体価格だけで判断するのではなく、補助金・助成金を活用できるかという点も、検討の早い段階でぜひ確認しておきましょう。

 

厚生労働省は、介護現場の課題解決に向けて開発や導入、普及を促進する技術領域を「介護テクノロジー利用の重点分野」として定めており、機械浴槽などを対象とする「入浴支援」も含まれます。

 

こうした背景のもと、OG Wellnessの介護用入浴機器も、公益財団法人テクノエイド協会が運営する「福祉用具情報システム(TAIS)」に「介護テクノロジー」として登録されています。対象となる製品はいくつかありますが、その中にはシャワー浴タイプの機械浴槽も含まれています。

 

OG Wellness「介護テクノロジー」登録製品の一例

座位シャワー浴槽

セレーノ チェアイン(HK-3800)
TAISコード:00085-000022

側臥位シャワー浴槽

セレーノ(HK-3100)
TAISコード:00085-000024 他

※その他、貯湯式の「アダージオ サイドイン」「ジュストデビュー」など、「介護テクノロジー」に認定された機器は「福祉用具情報システム(TAIS)」にてご確認いただけます。
※「介護テクノロジー」に認定されていない製品も、各都道府県が実施している介護テクノロジーの導入支援をおこなう補助金の対象になる場合があります。まずはお近くの弊社事業所・コールセンターにご相談ください。

 

対象機器の導入においては、国や自治体による補助金・助成金の活用によってコストを抑えられる場合があります。

 

一例として、厚生労働省の地域医療介護総合確保基金を活用し、各都道府県が 「介護テクノロジー導入支援事業」 を実施しています。介護現場における業務の改善や効率化、スタッフの負担軽減、働きやすい職場環境づくりなどを進めるために、介護テクノロジー等の導入経費の一部を補助する事業です。

 

【実施例】
神奈川県: 神奈川県介護ロボット・ICT導入支援事業費補助金
滋賀県: 滋賀県介護職員職場環境改善支援事業費補助金
山口県: 介護テクノロジー定着支援事業補助金
※本記事の掲載時点で公表前・公募終了のものが含まれる場合があります。 必ず最新情報をご確認ください。

 

ただし、補助金・助成金は、 「購入前(見積もり段階)」の申請 が必須です。事前着手は原則禁止のため、交付決定を受けてから発注するように十分注意しましょう。
また、自治体や年度によって対象機器、補助率、申請時期など要件が異なります。
実際に導入を検討する際は、施設所在地の自治体や公募要領を確認し、必要に応じてメーカー・販売担当者へ相談することをおすすめします。

 

 

【シャワー浴による経営メリット②】

「1回あたり」の使用湯量の違いから、大きな差が生まれる

導入時の費用とあわせて見積もっておきたいのが、導入後の運用にかかるコスト。水道・光熱費など給湯・排水にかかる費用は、日々の施設運営上、必要不可欠ながら大きな負担になりやすいものです。

 

一般的に浴槽にお湯をためて入浴するスタイルでは、入浴者ごとに排水、お湯の入れ替えを要するため、多くのお湯を使用します。

 

それに対し、浴槽にお湯をためて入浴するのではなく、肌あたりのやさしいミストで全身を包みこみ、洗身・入浴ができるシャワー浴。入浴者ごとにお湯を入れ替える手間なく、使用湯量を抑えつつ、常に新しいお湯で入浴できるので衛生面でも安心です。
 

 

(写真) セレーノ チェアイン HK-3800-S

 

たとえば、搬送車に座ったまま浴槽と接続して入浴できる「セレーノ チェアイン」の実使用湯量は、入浴1回あたり40.5L。一般的な貯湯式(185L)に比べて、約78%も使用湯量をカットできます。

※トゥッティ(HK-8100)と比較
※実使用湯量は入浴時間と入浴者の体格により変動します。

 

 

使用水量の大幅カットによるコストメリットは、上下水道料金の差として大きく表れます。

 

 

※水道料金は東京都の場合
※トゥッティ(HK-8100)と比較
※セレーノ チェアイン:20人/日×5日間/週(40.5L/人)、トゥッティ:20人/日×5日間/週(185L/人)

 

 

【シャワー浴による経営メリット③】

限られた人材を、より必要なケアに活かす

水道代の削減だけではない、シャワー浴の経営メリットにも目を向けてみます。

 

お湯をためる必要がなければ、入浴前の準備時間を短縮しやすくなります。入浴後も、毎回排水したり、次の入浴に向けてお湯をため直したりする工程を減らせます。
こうした「お湯の扱い方」による入浴工程の削減については、別の記事で詳しく紹介しています。
 

【関連記事】
入浴介助の効率化が進まない原因は「お湯の扱い方」にある?

 

さらに、入浴者ごとに新しいお湯で入浴できることは、感染対策の観点から入浴順を調整する負担を減らすことにもつながります。
こちらも、前回の記事で詳しく紹介しています。

 

 

【関連記事】
「入浴順」に悩む場面を減らす、シャワー浴という選択

 

あらためて注目したいのは、こうした工程削減や順番調整の負担軽減によって生まれる、金銭的なコスト以外の余力。

 

介護現場では、常に十分な人員の余裕があるとは限りません。限られたスタッフで、入浴や食事、排泄の介助、レクリエーション、記録・申し送りなど、多くの業務を日々進める必要があります。

 

そうした制限の中で、入浴にかかわる準備、介助、片付けの工程がシンプルになれば、スタッフの時間や労力を「作業」だけでなく、「人と向き合うケア」に使いやすくなります。

 

たとえば、入浴者への声かけや見守り、体調確認、移動や着替えのサポート。入浴準備など作業に要する時間が少しでも減れば、これら一つひとつを丁寧に、ゆとりをもっておこないやすく、入浴者・スタッフ双方の安心感につながります。ひいてはサービスの質の向上に、そして、スタッフの負担軽減によって離職リスクを抑えることにも貢献します。

 

水道・光熱費の削減のように数字で見えやすい効果だけでなく、人的資源をより良く活かせることも、シャワー浴がもたらす経営メリットのひとつなのです。
 

 

導入・運用の全体コストから、経営に余力を生む入浴設備の選択を

機械浴槽の導入においては、本体価格や設置費などの初期費用に気を取られやすいものです。
しかし、補助金・助成金を活用できる可能性、導入後の水道・光熱費、入浴業務にかかる時間まで踏まえた総合的な費用対効果に目を向けると、初期費用が低いからといって一概に良いとは言い切れない部分もあることがおわかりいただけたのではないでしょうか。

 

 

シャワー浴のように、お湯をためずに入浴できる仕組みは、費用削減だけでなく、スタッフの時間の使い方を変えることにもつながります。

 

機械浴槽を検討する際には、導入時の費用だけでなく、日々の施設運営にどのような余力を生み出せるかという視点も持ちつつ、施設の状況や何を重視するかによって選ぶことをおすすめします。